10月は「年次有給休暇取得促進期間」~自社の年休取得状況、見直してみませんか?
10月に入り、日々の業務もひと段落してきた頃かと思います。実はこの10月、厚生労働省が「年次有給休暇取得促進期間」と位置づけている月であることをご存知でしょうか。
厚生労働省は、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と位置づけ、年次有給休暇の取得促進に向けた機運の醸成に取り組んでいます。
次年度の年次有給休暇の計画的付与について、労使で話し合いを始める前の時期として10月が選ばれているのがポイントです。年末に向けて業務が繁忙期に入る前の今こそ、自社の年休取得の状況を点検し、来年度に向けた仕組みづくりを始める良いタイミングといえます。
年休取得率は過去最高の66.9%に
厚生労働省が令和7年12月19日に公表した「令和7年 就労条件総合調査 結果の概況」によると、令和6年(または令和5会計年度)における年次有給休暇の状況は以下のとおりでした(出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」)。
労働者1人平均付与日数:18.1日(前年調査16.9日)
労働者1人平均取得日数:12.1日(前年調査11.0日)※昭和59年以降で過去最多
労働者1人平均取得率:66.9%(前年調査65.3%)※昭和59年以降で過去最高
政府は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和6年8月2日閣議決定)において、令和10年までに年休取得率70%を目標として掲げています。66.9%という数字は、この目標まであと一歩のところまで来ていることを示しています(出典:前掲「令和7年就労条件総合調査の概況」)。
同調査では、産業別の取得率にも触れられており、最も高い産業と最も低い産業の間には20ポイント以上の差があることが分かっています。全体の数値が上がっているからこそ、自社の状況が「平均並み」なのか「見劣りする」水準なのか、一度確認しておく価値があります。
おさらい:年5日の取得義務と罰則
2019年4月から、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上のすべての労働者に対し、年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが義務となっています(労働基準法第39条第7項)。
この義務に違反し、対象労働者に年5日の有給休暇を取得させなかった場合には、労働者1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります(労働基準法第39条第7項、同法第120条)。対象者が複数いる場合は、労働者ごとに違反が成立すると解されている点にも注意が必要です。
なお、時間単位年休として取得した日数は、この「年5日」には含まれません。この点は現場で誤解が生じやすいため、社内周知の際に改めて確認しておくとよいでしょう。
具体的な取り組み方法
厚生労働省が10月の取得促進期間において特に効果的な取り組みとして挙げているのが、次の2つです(出典:厚生労働省「10月は『年次有給休暇取得促進期間』です」)。
① 年次有給休暇の計画的付与制度 年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば計画的に取得日を割り振ることができる制度です(労働基準法第39条第6項)。令和7年就労条件総合調査によると、この制度を導入している企業の割合は40.8%(前年調査40.1%)となっています(出典:前掲「令和7年就労条件総合調査の概況」)。
制度の活用方法や導入に必要な手続きは、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」(サイト内で「計画的付与」と検索)で案内されています。
② 時間単位の年次有給休暇 労使協定を締結すれば、年5日の範囲内で時間単位の年休取得を可能にする制度です。通院や子どもの学校行事など、1日単位では休みにくい事情に対応しやすくなります。
まとめ
10月は、来年度の年休の計画的付与について労使で話し合いを始める前のタイミングとして国が位置づけている月です。この機会に、以下のような点を確認してみてはいかがでしょうか。
自社の年休取得率は、業界平均や自社の過去実績と比べてどうか
年5日取得義務の対象者(付与日数10日以上の労働者)に、取得漏れがないか
計画的付与制度や時間単位年休の導入を検討する余地はないか
年次有給休暇管理簿が適切に整備されているか
なお具体的な制度設計(就業規則の変更を含む)については、自社の労使協定の内容や勤務実態によって最適な形が異なりますので、検討を行う際は、自社で導入した場合に問題なく運用できるかなども考慮しながら行うことが大切であるといえます。




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