2026年7月施行!法定雇用率2.7%への引き上げで何が変わる?――障害者雇用の基本と実務のポイント
- k-miwa0
- 6月30日
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2026年7月1日より、民間企業の障害者法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられます。 これにより、雇用義務の対象となる企業の範囲もさらに広がることとなります。 そこで今回は、この改正の概要と、障害者雇用を適切に進めるうえで押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
1. 法定雇用率とは何か
「法定雇用率」とは、障害者雇用促進法に基づき、事業主が常時雇用する労働者数に対して、一定割合以上の障害者を雇用しなければならない比率のことです。
これまでの引き上げ経緯を簡単に振り返ると、2021年3月に2.3%、2024年4月に2.5%、そして2026年7月に2.7%となります。
なお、民間企業のほか、国・地方公共団体の法定雇用率は現行2.8%(2026年7月以降は3.0%)、都道府県等の教育委員会は現行2.7%(同2.9%)と、機関の種別によって異なります。
2. 2026年7月の改正で変わる3つのポイント
①法定雇用率が2.5% → 2.7%に引き上げ
民間企業の法定雇用率が0.2ポイント引き上げられます。法定雇用障害者数の計算では小数点以下を切り捨てるため、たとえば常用労働者が100人の企業では、2.5%時も2.7%時も義務人数は「2人」のまま変わらないケースもあります。ただし、次の引き上げや自社の人員増加によって義務人数が一気に増える可能性があります。今のうちに採用・定着の体制を整えておくことが、将来の備えになります。
②雇用義務の対象企業が拡大
現在は常用労働者40人以上の事業主に雇用義務がありますが、2026年7月からは37.5人以上の事業主に対象が広がります。なお、この「37.5人」という端数は、週30時間以上の常用労働者を1人、週20時間以上30時間未満の短時間労働者を0.5人としてカウントする算定方法によるものです。たとえば常用労働者35人・短時間労働者5人の企業であれば、35+5×0.5=37.5人と計算され、雇用義務の対象となります。これまで義務のなかった小規模事業主も対象になる可能性があるため、早めの確認が必要です。
③除外率のさらなる縮小
障害者雇用が一般的に困難とされる業種について、雇用義務を軽減する「除外率制度」が段階的に縮小されており、2025年4月に一律10ポイント引き下げられました。ノーマライゼーションの観点から廃止の方向で縮小が続いており、建設業や農業など対象業種の企業は引き続き注意が必要です。
3. 達成できない場合のリスク
法定雇用率を達成できなかった場合、以下のようなリスクがあります。
① 障害者雇用納付金の負担
常用労働者が100人を超える事業主が対象です。法定雇用率に不足する障害者数に応じて、1人あたり月額5万円(年間60万円)の納付金が課せられます。
② 行政指導・企業名公表
雇用率が著しく低い企業には、ハローワークからの雇入れ計画作成命令、特別指導が行われ、それでも改善がみられない場合は企業名が厚生労働省のウェブサイト等で公表されます。採用活動や企業ブランドへの影響は無視できません。
一方、法定雇用率を超えて障害者を雇用している常用労働者100人超の事業主には、超過1人あたり月額2万9,000円の「障害者雇用調整金」が支給されます(年間支給対象人数が120人を超える部分は月額2万3,000円)。また、100人以下の事業主には「報奨金」(月額2万1,000円、年420人月超の部分は月額1万6,000円)の制度もありますが、こちらは各月の雇用障害者数の年度間合計が「各月の常用労働者数×4%の年度間合計」または「72人」のいずれか多い数を超えた場合が支給要件となります。その他詳細は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)または社会保険労務士にご確認ください。
4. 障害者雇用を「形だけ」にしないための実務ポイント
雇用率の達成は最低限の義務ですが、本来の目的は障害のある方が継続して活躍できる職場をつくることです。数字を合わせるだけでは、早期離職や職場トラブルが生じやすくなります。以下の点を押さえておきましょう。
① 合理的配慮の提供は義務
2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、民間企業においても合理的配慮の提供が努力義務から法的義務へ格上げされました。合理的配慮とは、障害のある方と障害のない方の均等な機会を確保するために、「過重な負担」にならない範囲で、それぞれの障害の特性に応じた対応をすることをいいます。
具体的には、通院のための勤務時間調整、休憩スペースの確保、マニュアルのルビ付き化など、個別の状況に応じた対応が求められます。採用時だけでなく、在職中も継続的に配慮が必要である点に注意が必要です。
② 差別禁止の徹底
事業主は、募集・採用において障害者に対して均等な機会を与えなければなりません。また、賃金・教育訓練・福利厚生などの待遇について、障害を理由とした不当な差別的取扱いも禁じられています。
③ 担当者・相談員の選任
事業所単位で障害者を5人以上雇用している場合、その事業所には障害者職業生活相談員の選任が義務付けられています。また、雇用義務のある事業主は障害者雇用推進者の選任に努める必要があります。
④ 毎年6月1日の「障害者雇用状況報告」
雇用義務のある事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークへ報告する義務があります。忘れがちですが、未報告は指導の対象となりますので、毎年確実に対応しましょう。
⑤ 短時間労働者のカウントルールを把握する
2024年4月の改正から、週所定労働時間10時間以上20時間未満の精神障害者・重度身体障害者・重度知的障害者が0.5人としてカウントできるようになりました。柔軟な就労形態を活用しながら雇用率を達成する選択肢が広がっています。
5. まずは自社の実雇用率を確認しましょう
実雇用率の計算式は次のとおりです。
実雇用率(%) = 雇用している障害者数 ÷ 常用雇用労働者数 × 100
(常用雇用労働者数の算定では、週30時間以上の労働者を1、週20時間以上30時間未満の短時間労働者を0.5として計算します)
2026年7月に向けて、現在の実雇用率が2.7%に達しているか、また対象企業の範囲(37.5人以上)に該当するかを今から確認し、不足がある場合は採用活動や業務切り出しを計画的に進めることが重要です。
まとめ
時期 | 主な変更内容 |
2024年4月 | 法定雇用率2.5%・雇用義務対象40人以上・合理的配慮義務化・超短時間労働者のカウント開始 |
2025年4月 | 除外率を一律10ポイント引き下げ |
2026年7月 | 法定雇用率2.7%・雇用義務対象37.5人以上 |
障害者雇用は、単なる「法律上の義務」ではなく、多様な人材が活躍できる職場づくりの一環です。制度の理解を深め、早めに社内体制を整えることが、企業にとっての最大のリスクヘッジになります。
当事務所では、障害者雇用に関するご相談・雇用状況報告の支援・就業規則整備など、幅広くサポートしております。お気軽にお問い合わせください。




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