4月・5月・6月の給与が、1年間の社会保険料を左右します
- m-ohashi
- 4月16日
- 読了時間: 3分
新年度が始まり、慌ただしい日々をお過ごしのことと思います。 この時期、事務手続きの上で注意する必要があるのが、4月・5月・6月に支払う給与の額です。 なぜなら、この3ヶ月間の平均額が、その年の9月から翌年8月までの1年間の社会保険料を決定する「算定基礎届(定時決定)」のベースになるからです。
1. 「4・5・6月の残業代」が1年間のコストをロックする
この期間に繁忙期が重なり、残業代が一時的に跳ね上がったとします。すると、その「高い給与」を基準に1年間の保険料が固定されてしまいます。 会社にとっては「法定福利費(社会保険料の会社負担分)」という固定費が増えることになり、結果として1年間の増えたままの固定費を維持しなければならない―――ということになります。
2. 社員の「手取り額」が減る!?
社員にとっても影響は深刻です。 「4.5.6月は残業が多かったから頑張って稼いだのに、そのあと残業が減って、でも9月からの保険料は上がって、結果として手取りがほとんど増えない(あるいは減る)」という現象も起き得ます。 せっかくの労働の対価が、上がった保険料に相殺されてしまった―――というのは、モチベーションの低下を招きかねません。
3. 「たまたま忙しかった」+昇給の影響
社会保険料は一度決まると、基本的には翌年8月まで1年間変わりません。 「この3ヶ月だけ、たまたま残業が増えた」という理由であっても、原則としてその高い数字で1年間ロックされてしまうのが、この制度の注意点です。
しかし、以下のような「固定的賃金(お給料のベース)」に変動があった場合には、年の途中でも保険料を見直す手続き(随時改定)が必要になることがあります。
・昇給や降給:基本給そのものが変わった場合
・役職手当などの変更:昇進に伴う手当の新設・改定
・通勤手当(交通費)の改定:
・鉄道やバスの定期代の価格改定や、引越などに伴うルート変更
・ガソリン単価や燃費基準(例:10km/1ℓ)に基づき、走行距離をかけて算出して いる場合の単価改定や距離の見直し
意外と見落とされがちなのが、この「通勤手当」の変動です。 春の運賃改定や、年度替わりの通勤距離の再確認などが4月の残業増と重なると、想定以上に社会保険料の等級が跳ね上がり、会社負担の増大と社員の手取り減を招くことにもなります。
4. 今すぐ取り組みたい「残業の平準化」への一歩
「仕事があるから、経営が成り立つ」だから頂いた仕事をする―――だから残業は必要じゃないか!そういう声が聞こえてきそうです。昨今残業は悪という風潮もありますが、当然必要な残業はあり、それをする必要がないという話では決してありません。
ただ今発生している残業はどういったものなのかを見直す機会を持つ必要はあるでしょう。
特にこの3ヶ月間、お勧めしたい不必要な残業を減らそうとする取り組みは、単なるコスト削減を!という話ではありません。
・業務の偏りがないか再チェックする
・客先との納期調整を早めに行う
・「残業して稼ぐ」という意識から、「時間内に成果を出す」文化へ
これらを意識するだけで、会社負担の保険料を適正に抑え、社員の手取り額を守ることにつながります。
実務の「数字」から、組織の「働き方」が見えてくる
4月・5月・6月の数字は、会社の「働き方」を見せているとも言えます。 この期間の過ごし方を一度見直してみることは、健全な経営と社員の安心を守る第一歩になります。
当事務所では、算定基礎にかかる実務処理や、無理のない労働時間管理のご相談も承っております。お気軽にお声がけください。




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